公益法人とは

公益法人について

公益法人とは、社会全体や不特定多数の人々の利益を目的とする事業を行なう法人のことであり、
社団法人(人の集まり)と財団法人(財産の集まり)の2種類があります。
行政や、民間の営利活動だけでは社会課題の対応が難しく、民間の非営利法人の役割は重要になってきています。

■ NPO法人との違い

NPO法人は、ボランティア団体です。
都道府県もしくは政令指定都市に認証を受けないと、設立できません。

公益法人制度改革

公益法人は、もともと、明治31年(1898年)に施行された旧民法34条により規定されていました。
「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団または財団であって営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。」と規定されていました。
旧民法34条時代の公益法人は、行政庁の許可がないと設立することができませんでした。もっと自発的に、簡易に、民間が非営利活動を行うことができる仕組みとして、平成20年12月に、新しい公益法人制度が始まりました。

公益法人の種類

公益法人(社団法人・財団法人)は、3種類に分かれています。

  1. 普通型の
    一般社団法人/一般財団法人

    不動産管理会社、営利目的、持株会など、設立目的を自由に決めることができます。
    普通の営利企業と同様、すべての所得に対して法人税がかかります。登記だけで設立ができます。

  2. 非営利型の
    一般社団法人/一般財団法人

    非営利性を徹底した法人 もしくは 会員のための活動を目的とする法人の2つの累計があります。
    両方とも、理事3人以上が必要で、同族関係者や同一団体の役員に占める割合が1/3を超えることはできません。

  3. 公益社団法人/公益財団法人

    一般社団法人・一般財団法人のうち、公益認定等委員会に審査され、「公益性が高い」と認められた法人です。
    税制上、いろんな優遇規定を受けることができます。

公益認定を受ける
メリット・デメリット

メリット public interest corporation “Merit”

  • 社会的信頼が厚い

    「公益社団法人」「公益財団法人」という法人格は、厳しい審査を通って公益認定を受けた法人しか得ることができません。「公益」がついた法人は、「不特定多数の利益の増進」のために活動している、公的なお墨付きのある法人になります。
    公益認定を受けた法人は、全国で9,000件弱しかありません。それだけに、信用力が全然違います。

  • 寄附金が集めやすい

    公益認定を受けると、寄附金が集めやすくなります。社会的信用力が「一般社団法人」「一般財団法人」とは全然違います。
    しかも、「公益」認定を受けた法人への個人からの寄附は、所得控除の対象になりますし、税額控除対象法人になれば、寄附した人は「税額控除」も受けることが可能です。

  • 税制上のメリットが多い

    公益認定を受けた法人には、次のような税制上の優遇規定があります。

    1. 個人が公益法人へ寄付をした場合、所得控除を受けることができます。
      また、公益法人が税額控除対象法人になることができれば、寄附をした個人が税額控除を受けることもできます。
      (所得控除との選択となります。)
    2. 法人が公益法人へ寄付した場合、一般寄附金の損金算入限度額とは別枠で、損金算入限度額が設けられています。
    3. 個人が相続財産を寄付した場合、その分の相続税が非課税になります。
    4. 個人が財産を寄付し、みなし譲渡所得が発生した場合に、みなし譲渡所得税が非課税になります。
    5. 公益法人が収益事業を行った場合、その利益を公益目的事業に使うことで、法人税が安く済みます。
    6. 利子、配当に対して源泉所得税がかかりません。

デメリット public interest corporation “Demerit”

  • 公益認定基準を順守し続けないと、財産の一部を国等に寄付しないといけない。
  • 厳しい法令順守が課される。
    公益認定基準に外れるようなことはできない。
  • 行政庁の監督下におかれ、
    3年に1度程度、行政庁監査を受けないといけない。
  • 自由な運営がしにくいことがある。
    新しいことをしたくても、行政庁の許可もしくは届出が必要になる。
  • 事業活動が制約される。公益認定基準に沿った事業活動を行わないといけない。
  • 事務作業が増える。事業計画、事業報告等の届出、異動届等、行政庁に毎年(もしくは変更のたびに)提出しないといけない。

公益法人に認定される条件

  1. 公益目的事業を行うことを主たる目的とする一般社団法人・一般財団法人であること
  2. 内閣府または都道府県において、公益認定申請を行うこと
  3. 公益認定基準18項目をすべて満たしていること
  4. 次の公益認定法の欠格事由に該当しないこと
    • 理事、監事及び評議員のうちに一定の欠格事由に該当する者がいる法人
    • 行政庁から公益認定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人
    • 定款又は事業計画書の内容が、法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反している法人
    • その事業を行うにあたり、法令上必要となる行政機関の許認可等を受けることができない法人
    • 国税又は地方税の滞納処分の執行がされている法人、又は当該滞納処分の終了の日から3年を経過しない法人
    • 暴力団員等がその事業活動を支配する法人

公益法人に関する
Q & A

公益法人を設立するにはどうすればよいですか?

まず一般社団法人・一般財団法人を設立しします。その後、内閣府又は都道府県に対して公益認定の申請をします。
平成20年12月1日に法律が施行された新しい公益法人制度では、一般社団・財団法人であれば、公証人による定款認証と設立の登記を行うだけで設立することができます。
一般社団・財団法人が、公益社団・財団法人となるためには、内閣府又は都道府県に対して申請を行い、公益認定を受けなければなりません。

将来、公益認定を受けることを目標に一般社団・財団法人を設立します。
どこに注意すればよいでしょうか?

一般社団・財団法人は定款の認証・設立登記のみで設立できますが、公益認定の申請を見越した定款を作成し、法令・定款に基づいた管理・運営することが大切です。
下記サイトに公益認定を見越した定款作成の参考となる資料がありますので、ご覧ください。
公益法人information 「公益認定のための「定款」について

公益認定にはどのような要件がありますか?

公益認定を受けるには、主に、次の要件を満たすことが必要です。(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(認定法)第5条)

  • 公益目的事業を行うことを主としていること
  • 特定の者に特別の利益を与える行為を行わないこと
  • 収支相償であると見込まれること
  • 一定以上に財産をためこんでいないこと(遊休財産規制)
  • 理事等の報酬が不当に高額でないこと
  • 他の団体の意思決定に関与できる株式等の財産を保有しないこと
  • 公益目的事業を行うのに必要な、経理的基礎・技術的能力があること
  • 相互に密接な関係にある理事・監事が3分の1を超えないこと
  • 公益目的事業財産の管理について定款に定めていること

また、次の欠格事由のいずれにも該当していないことが必要です(認定法第6条)。

  1. 理事、監事、評議員のうちに一定の要件(公益認定を取り消された公益法人の業務を行う理事であって、取消しから5年を経過していない等)に該当する者がいる
  2. 公益認定を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない
  3. 定款又は事業計画書の内容が法令や行政機関の処分に違反している
  4. 事業を行うに当たり法令上必要な行政機関の許認可等を受けることができない
  5. 国税又は地方税の滞納処分が執行中又は滞納処分終了から3年を経過していない
  6. 暴力団員等がその活動を支配している
公益社団・財団法人は、経理・会計はどうすればいいでしょうか?

公益法人会計基準」および「公益法人会計の運用指針」に則って、経理処理を行い、決算書を作成してください。

公益社団・財団法人には、税制優遇規定はありますでしょうか?

「民による公益の増進」を図るため、公益法人には各種の税制上の優遇措置が設けられています。
これらは、大きく分けると「公益法人に対する寄付についての税制」(寄附税制)と「公益法人が行う事業についての税制」(法人課税)の2つに分けられます。

<公益法人に対する寄附についての税制>
個人又は法人から公益法人に対する寄附についての税制上の優遇措置が設けられています。
①公益法人に寄附をした個人に対する税制優遇……主に「所得税」、「個人住民税」、「相続税」
②公益法人に寄附をした法人に対する税制優遇……主に「法人税」

<公益法人が行う事業についての税制>
公益に寄与する法人の活動を支えるため、公益法人が行う事業についての税制上の優遇措置が設けられています。
③公益法人が行う事業に対する税制優遇……主に「法人税」、「源泉所得税」

公益法人お役立ちコラム